中小企業の法律相談 集合債権譲渡担保
2013.04.02 |
吉岡です。こんにちは。
法人のお客さまから,昔作った契約書の内容が問題ないか確認してほしいとのお話をいただきました。
集合債権譲渡担保の設定契約書です。
内容を見てみると,債務者の第三債務者に対する現在及び将来の債権を全て譲渡すると書いてあります(弁護士でない方が作成した模様)。
わが社の債権回収に夢中になるあまり,取れるだけ取ろうと考えることは無理からぬことではありますが,これでは債権が全く特定されておらず無効とされます。
苦労して作った契約書が無効とされたのでは元も子もありません。
集合債権譲渡担保を設定する場合,譲渡される債権の始期や終期を明示することは必須です。
また,第三債務者が複数いる場合などに債権譲渡登記をしたり,関連する債権債務関係を調整するなど事案に応じて細かな設計が必要となります。
今回のご相談は,早期発見・早期治療の典型でした。
弁護士の仕事もお医者さんと一緒です。症状が出てすぐに手当てをすれば快復も早く,ちょっとした手当てで終わります。逆に手当てが遅くなれば手術級の治療が必要になったり,手の施しようがなかったりします。
今回の集合債権譲渡担保契約に即して申しますと,債務者が倒産寸前となったころに慌てて契約書を作成しなおしても,後日,破産管財人から否認権を行使される(既に債権譲渡を受け回収した金銭を返還させられる)危険があります。
日弁連も「ひまわりほっとダイヤル」(リンク有り)を設け,中小企業のお悩みを積極的に受け付けておりますので,お悩みやご不安をお持ちの方はお近くの弁護士までご相談されてみてはいかがでしょうか。