罪本重ル可クシテ
2016.10.18 |
吉岡です。こんにちは。
遂に六法(憲法,民法,刑法,商法,民事訴訟法及び刑事訴訟法)からカタカナ条文が消えるそうです。
商法の運送や海商に関する規定を見直す改正案を閣議決定したとのことで,上記となるとのこと。
思えば,当職が司法試験の受験を始めたころは民法はおろか刑法や民事訴訟法や商法などほとんどカタカナ条文だったと記憶していますが,中でも刑法は禅問答のような条文ばかり。
現行刑法第38条2項は,
重い罪に当たるべき行為をしたのに,行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は,その重い罪によって処断することはできない。と規定し,故意について規定していますが,これの旧条文は,
「罪本重ル可クシテ犯ストキ知ラサル者ハ其重キニ従テ処断スルコトヲ得ス」
つみ,もと,おもかるべくして……,と読みます。ざいぽんじゅうるかくしてでも,つみほんしげるべくしてでもありません。
「偶然ノ輸贏」なんて文言も刑法の賭博罪にありました。「輸」は負けること,「贏」は勝つこと(逆だったかも?)の意味ですが,「偶然ノ輸贏」の意味が分からずにバクチをしていたんだから違法性の意識はなく無罪だなんて主張があったとかなかったとか。
随時提出主義が適時提出主義となり,自己株式取得はダメ,ゼッタイ。と呪文のように唱えていたのがひっくり返って○○ホールディングスになるわけですから,常に世の中の価値観にアンテナを張っていないとすぐに時代においていかれてしまいます。
当職が生きている間に条文すべて英語表記に切り替えなんてことにならなきゃいいんですが。
(府中大國魂神社前事務所から多摩川方面の風景)