相続放棄の現場から
2018.01.07 |
吉岡です。こんにちは。
戌年の本年もどうぞよろしくお願いいたします。
まだまだ松の内ではありますが,最近多くお伺いする相続案件のなかでも相続放棄について少しお伝えさせていただきます。
相続放棄をしたいとのご相談の中で放棄できるかどうかよりも放棄させられそうになっているとか,他の共同相続人を相続放棄させたいといった内容を伺うことが多々あります。
これから遺言を残したい方が,特定の(推定)相続人に対し財産を渡したくないということはよくあることで,そのために遺言や廃除の制度などがあります。
一方で,相続人同士で他の相続人に相続放棄をさせるためのものはありません。もちろん,他の共同相続人の相続放棄をお願いすることはできますし,それは違法なことではありません。しかし,当事務所など弁護士にご相談に来られるような事例になると,強い口調を伴ったり,身体の自由を奪いかねない態様のものも見受けられます。
私らはあれだけ亡くなった者の面倒を見たのに,何もしていない彼らが同じだけもらう,法定相続分そのものをもらうのは納得いかない!という気持ちはもちろんわかりますが,それに対応するものは寄与分や遺言の制度であり,相続放棄ではありません。
それでも相続放棄を求めたいとのことであれば,相手方はそれに応じる必要はないわけですから,少なくとも丁寧な申し出が必要でしょうし,感情的になっては事は成りません。このようなご要望がおありでしたら,一度弁護士にご相談されてみてください。
一方で,相続放棄を迫られている方は,ご自身で対応されることなく,弁護士に代理をさせ窓口を弁護士にして対応されることをお勧めします。
最終的に相続放棄をするにしても,まず相続財産が(借金を含めて)どの程度あるのか,しっかり調査をしてから決める必要があります。相続放棄を迫られている状況でご本人が冷静に十分な相続財産の調査をすることは難しいですし,なにより強いストレスと時間がかかります。このような場面にある方も一度弁護士にご相談されることをお勧めします。
(もうイヤだワンっなんてことにならないうちに弁護士にご相談を)