捌きの達人
2012.12.18 |
吉岡です。こんにちは。
調停手続きである事件が越年せずに落着し,解決までに学ぶものの大変多い事件でした。
依頼者の方の切なる想いに弁護士として大事にしなければならないものを再確認し,
相手方代理人の理屈や財産評価のノウハウは今後の活動の血となり肉となるものでした。
そして,なにより今回お世話になった調停委員の方々の紛争解決への熱意には頭が下がりました。
女性委員が相互の主張を的確に整理し,男性委員がそれを踏まえ相手方主張を正確にこちらへ伝え,こちらの反論についても紛争解決に資する形にして相手方に投げ返す。
当初はもうダメだと(というより,不調にして審判に行こうと)思ったところを何度も上手に連れ帰して遂には奇跡の年内決着となりました。
もちろん,相手方もこちらも代理人含めて話合いで解決するための譲歩はしましたが,その譲歩をする雰囲気の醸成は本件の調停委員の方々の手綱捌きによるものです。
ともすれば,調停手続きが進むにつれ委員の中立性に疑問符が付きがちなものですが,本件では全くそのようなことがなく,武道か文道かを極められたかのような落ち着きがありました。
裁判官の人数不足は周知の事実ですが,このような方々が裁判所ひいては司法手続きを支え,紛争の早期かつ円満な解決を実現させていることを改めて感じた次第です。
裁かずとも捌いて落とす。いやはや見事なお捌きでした。