孫たちの相続権~代襲相続の注意点~(養子の連れ子,甥・姪の子)
2013.05.24 |
吉岡です。こんにちは。
先日,無料法律相談会を岩国,柳井両市にて開催いたしました。多くの方にご来訪いただきました。ありがとうございます。
その中でも相続のご相談,特に遺言の相談を多く承りました。
そこで,養子の連れ子(その連れ子を自己の養子とした場合を除く)や甥・姪の子に身の回りの世話などをしてもらっており何らかの形で財産を遺してあげたいといったご相談や,お孫さんらのご相談で,身の回りのお世話をしている方から口約束で財産を与えるといわれているが本当にもらえるのかというご相談について触れてみたいと思います。
これらの方々に相続権があるかどうかは,いわゆる代襲相続(被相続人が死亡するよりも先に相続人が死亡したこと等によりその子供たち等が代わって相続すること)が発生するかどうかによります。結論としては,養子の連れ子や甥・姪の子には代襲相続は発生せず,相続権はありません。つまり,遺言を作成されることなくお亡くなりになった場合,その方々には財産は相続されません。養子の連れ子は「被相続人の直系卑属でない者」(民法887条2項但し書き)に該当するため代襲相続権がなく,また甥・姪の子については,兄弟姉妹の代襲相続が甥・姪までに限られ,甥・姪の子には代襲相続は発生しないからです(兄弟姉妹の相続権を定める民法889条2項は,代襲相続について定める民法887条2項を準用していますが,再代襲相続について定める3項を準用していません。)。
甥・姪の子については,被相続人との人間関係が通常は希薄であることが想定でき,わざわざ再代襲させてまで財産を引き継がせなくてもよい(これまで会ったこともないような人が亡くなることで財産が転がり込んでくるいわゆる「笑う相続人」の発生を防ぐ)との立法趣旨ですが,養子の連れ子については養子縁組による法定血族関係が養子の連れ子にまで及ばないことを根拠としています。しかし,甥・姪の子と違って養子の連れ子の場合,人的交流がないと一般的にはいえないでしょうから,法律の規定としては疑問の余地はあります。
ともあれ,このような方々にはそのままでは財産は引き継がれませんから,それぞれのお立場で遺言作成を考える必要があります。
(公正証書遺言例)