先生と呼ばれるほどの馬鹿でなし
2013.08.16 |
吉岡です。こんにちは。
お盆も終わりました。皆さまも遠く離れて暮らす方との楽しいひと時を過ごされたのではないでしょうか。
さて,当事務所は国選弁護を含む刑事事件が今ピークを迎えております。交通事故の医師面談がひと段落しているところなので,一気に被害弁償手続きを済ませて公判の準備を進めているところです。昨日は被害弁償のため2軒の被害者のお宅に伺ってきました。
窃盗などの財産犯においては最も重要な情状となるのが被害弁償です。身柄拘束されている被疑者・被告人に代わって被害者の下へ伺い,金銭の授受の他,「被告人を許す,寛大な処分を願う」などの文言(宥恕文言)を含む示談書を取り交わすのが被害弁償手続きの基本的な内容です。
この被害弁償手続きは,被告人にとっても重要であるとともに,私個人としても大変重要な手続きです。日頃,目上の方や会社の社長さんたちから,大して実力もなく偉くもないのに「先生,先生」と呼ばれ,自分を見失いがちな環境にあるわけですが,刑事被告人の代理人として被害者の下へ行くと先方からの扱いは泥棒の手先です。複数の方から怒鳴られたり,説教をいただいたりすることは被害者の気持ちからすれば当然ですが,中には弁護士個人への攻撃もあります。そんな中で被告人のために被害者の方に頭を下げて説得し宥恕文言の入った示談書に署名・押印していただきます。被害者の方に弁護士が直接謝罪に来たから許すといわれた時の喜びは民事事件で報酬をたくさんいただいた時の喜びとはまた別の弁護士としての大きな喜びです。示談成功時の国選弁護の報酬なんて知れたものですが,被害者の気持ちの慰撫や弁護士としての心構えを修正させる大きな意味もあるため,できるだけ被害者の下へ足を運ぶようにしています。