圧迫骨折の既存障害
2019.08.14 |
吉岡です。こんにちは。
脊椎の圧迫骨折に関する後遺障害については,逸失利益に関連して労働能力喪失率や喪失期間が争われやすいなど賠償上の争点も多々ありますが,その前段階の後遺障害等級認定の場面でもハードルがあります。特に複数個所を圧迫(破裂)骨折している場合ですが,全体としては複数個所の圧迫骨折を認めるものの,脊椎の一部分は事故によるものではなく事故前から存在しているものなのでその部分を除外する,例えば8級認定で既存11級の加重障害との認定が出されることがあります(賠償額は8級から11級部分を除いた額となります。)。後遺障害診断書の既存障害欄に既往症の記載がない場合でもこのような認定がしばしばなされます。
この部位において既存障害であるかどうかは,主に圧迫骨折の部分の事故から症状固定までの骨性変化の進行の程度(圧潰の程度)を根拠に判断しています。
ですので,既存障害とされてしまった部分については,事故以降に圧潰が進んでいること,事故前の画像や検査結果があれば提出し,事故前には当該部位に圧迫骨折がなかったことを証明することになります。
少し梃子摺りましたが,主治医への医師面談,事故前に脆弱性骨折の存在を示す検査結果はないことなどの証拠資料を添え,既存11級の部分を覆し,8級認定を獲得しました。
とはいえ,弁護士の仕事はまだまだ続きます。これからようやく8級を前提とした適切な損害賠償を実現するための示談・訴訟手続に進みます。
どの案件でもそうですが,似たような案件でも必ず違うところがあります。そこを目を皿のようにして見つけ出し,執念深く,適切な賠償を実現していくことろにやりがいを感じています。